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 奥様は手文庫から二十両の金を出して、わたくしにお渡しになりました。これは照之助に遣るのではない、その橋渡しをしてくれる師匠に遣るのだと云うことでございました。そこへお朝が風呂から帰ってまいりましたので、お話はそのまゝになりました。  わたくしはその明る日、すぐに浅草の花川戸へまいりまして、むかしの師匠の家をたずねました。そうして、ゆうべの話しを竊《そっ》といたしますと、小翫も一旦は首をかしげていました。それは相手が武家の奥方であるのと、もう一つには、わたくしの年がまだ若いので何をいうのかと疑っているので、すぐにはなんとも挨拶をしないらしく見えましたから、わたくしは袱紗につゝんだ金包みを出して師匠の眼の前に置きました。二十両――その時分には実に大金でございます。師匠もそれをみて安心したのでしょう。安心というよりも、その大金をみて急に慾心が起ったのでしょう。わたくしの云うことを信用して、それから真面目に相談相手になってくれました ユーカリが丘の美容室
 
 
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