tomosibi
  Sonootoko
 
『そして又その男と言うのはだね。恐らく此の頃何処か、多分西の方へでも旅行した事のある男だ。どうしてって、ほら君の見る通りこのナイフの側に落ちていた広告マッチのレッテルには「小料理・関東煮」としてある。関東煮とは、吾々東京人の所謂おでんの事だよ。地方へ行くとおでんの事を好く関東煮と呼ぶ。殊に関西では、僕自身度々聞いた名称だよ。従って、このマッチは、レッテルの文案に「関東煮」としてあるだけで、充分に東京の料理店のマッチでない事は判る筈だ。――』 『いや、もういい。よく判ったよ。』  私は喬介の推理に、多少の嫉ましさを感じて口を入れた。喬介は、先程のジャックナイフをハンカチに包んで広告マッチと一緒にポケットへ仕舞い込みながら、私の肩に手を置いた。 『じゃあ君。これから一つ機械油の――あの被害者の背中に引ッこすッた様に着いていたどろりとした黒い油のこぼれている処を探そう。』  そこで私は、喬介に従って大きな鉄工場の建物の中へ這入った。

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辺りに人なきが如し
 
 
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