tomosibi
  Jorei
 
 次の日は雨。その次の日は雪。その次の日右の眼ぶたにものもらひが出来た。  午後、部屋の中で銭が紛失した、そして、雨まじりの雪になつて二月の晦日が暮れた。  少しでも払らはふと思つてゐた肉屋と酒屋はへんに黙つて帰つて行つた。  私は坐つてゐれないのでしばらく立つてゐた。ないものはないのであつた。盗つたことも失くなつたことも、つまりは時間的なことでしかないやうだ。  天井に雨漏りがしかけてきて、雨がやんだ。  次の日いくぶん眼ぶたの腫がひいてゐた。  朝のうちに陽が一寸出てすぐ曇つた。  庭の椿が咲きかけてゐた。  湯屋へ行くと、自分と似たやうな頭をした男が先に来て入つてゐるのだつた。昼の風呂は湯の音がするだけで、いつかうに湯げが立たない。そしてつゝぬけに明るい。誰かゞ入つて行つたまゝの乾いた桶やところどころしかぬれてゐないたゝきが、その男とたつた二人だけなので私の歩くのにじやまになつて困つた。私よりも若いのに白く太つてゐるので、湯ぶねを出ると桃色に赤くなつたりするのだつた。

天光-遠隔による霊視・除霊・浄霊
除霊・浄霊-お祓い(御祓い)と除霊
 
 
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