其所で、第一の探檢が所謂お穴樣の内部である。前には此横穴の前まで、參詣人を寄せたのであるが、それでは線香で燻べたり、賽錢を投付けたりするので、横穴の原形の毀損する虞れが有る爲に、博士は取調上の必用から、先日警察に交渉し、入口から三間許り隔て、棒杭を打ち、鐵條を張り、人を入らしめぬ樣に警戒を依頼されたのだ。 今日は併し、其博士が先導であるから、我々は自由に内部まで入るを得た。但し、五六人宛交代りである。 穴は間口七尺五寸に、奧行八尺の、高さ四尺、長方形の岩室で、それに柄を附けた樣に入口の道がある。突當りに一段高い處があつて、それから周圍と中央とに淺い溝が掘つてある。之は水の流出を謀つたのであらう。 右の如く純然たる古代の葬坑で、住居跡なんどいふのは愚説の甚しいのである。横穴の中でも格別珍らしい構造では無いが、床と溝とが稍形式に於て異なつて居る位で、之を信仰するに至つては、抱腹絶倒せざるを得ない。
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