怪しい二つの事件は、どこまでもないまぜに続いた。次ぎの日の巡検にも、純之進の目にのみ月代の土気色をした若者の姿は見えた。その夜神益村の庄屋武左衛門の家でも、高島田の娘は行燈の影に坐って泣いた。 その明くる日は洞道越という難所を通って再び丹那の山田家に帰り、これでほぼ巡検の任務を果したのであった。 大勢はすでに定まった。今度の役人に賄賂は利かぬと見たので、お祭り騒ぎの行列も減じ、伺候する村役人も殆ど絶えた。 純之進は却ってその方がよいのであった。この夜は、村々の選ばれたるおとぎ女、急仕込の小笠原流の美人達は一人も来なかった。これで夢の幽霊さえ出てくれねば、本当に好いのだがと思いつつ眠った。が、矢張、同じ刻限に同じ姿で出て来た。そうして珍らしくも初めて口をきいた。 「明日は、何も彼もお分りになりましょう」 その一言を遺して、悲鳴もなく安らかに消えて失せた。
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