tomosibi
  Tannna
 
 丹那を立去る時がいよいよ来た純之進は、あくる日丹那山の唯一の名所、鸚鵡石を見物して行く事にした。(鸚鵡石は、志摩国逢坂山のが一番名高い。つまり声の反響、コダマの最もよく聴こえる個所なので、現在では少しも不思議とはせぬが、その時代の人は真に奇蹟としていたのであった)  もうこの日は誰も付いて来なかった。勿論それは純之進の方からも謝絶したので、わずかに山田家の下男が道案内に立ったに過ぎなかった。但し若党は供にした。  西の方へ山道二十町ばかり。それより南の方へ谷間を縫うて行くと、沼津領の境近き小山の中腹に高さ一丈五六尺、幅六尺ばかりの大岩が聳っていた。それが鸚鵡石であった。谷間二百歩ばかり隔ちて、こちらから声を掛けると、同じ言葉を鸚鵡返しに答えるのだった。 「ああ、今日初めて自分の体になられた。人間は飾りを取った本当の生地で話し合うのが一番よいのだ。丹那へ来て安心して話の出来るのは、鸚鵡石殿、貴公ばかりだぞ」  純之進が最初の声であった。すると同じ声が石の方でもした。純之進は全く清い清い心になりすました。

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