――ばかッ――。また酔ぱらったな。
それからさっさと土間からかけてある梯子段で向うむきのまま靴を脱ぎ、メリンスのカーテンの垂らしてある中二階へ上って行った。
――あんなに怒った顔をしていても直ぐに何でもなくなるんですよ。あたしゃ、すっかり男のこつを覚えましてね。今から考えるとやり方によっては先の亭主もあの養子野郎もあんなに増長させずに済んだと思いますよ。一たい男はおとなしい女は嫌いですね。
――おばさんお豆腐をこしらえる道具はどうしたの。
――あなたが洋行して居なさる間に世の中が変りましたね。いまこんな小さい豆腐屋では自分とこで品物はこしらえませんですよ。会社がありましてね、そこで大げさに製らえて分けるんです。あたし達はそこの会社の株主でもあり支店でもありますんでね。それから納豆も。
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