それにいつの間にやられたのか、その手の甲と同じように、背筋にも痛痒さを覚えるので、それを自から掻こうとしても、手の先は巧く思う壺に達せぬ事を怠緩しがった。 それや、これや、中々に眠りに就けなかった。寝られぬままに考えると、怪しき事のみ今日は多かった。 大田切の路傍で見た旅商人の若衆、関川で見た巡礼の若衆、最後に黒姫山の裾野で見た武家若衆。同じ人か。別の人か。三ヶ所で見たのは、扮装は別々ながら、いずれも高田城内に忍び込んだ怪しき若者にそのままで有った。もしやその由緒の者が怨恨を晴らさん為に、附狙うのではあるまいか。そう思うと又してもぞっとして、全身を悪寒をさえ生じたのであった。 背筋の痒さは一層強く覚え出した。いかに身を悶悩さして、敷蒲団に擦付けても、少しも思うように痒さは癒えぬのであった。
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